格闘ゲーム用のレバーレス・アーケードコントローラー
Hit Box(ヒットボックス)
を自作していこうというゲーミングDIYの企画、第3回目です。
※Hitboxの既製品はこういったものになります。
前回#2ではHitBox本体に必要なおおよその材料を調達しました。
今回からHitboxの筐体を考えていきます。
まずは自作Hitboxの天板を考えるにあたって候補となる素材に穴開けテストをしてみたーという内容です。
特に工作時にはケガ等ないように安全管理にはお気をつけください。
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いろんな素材で穴開けの練習
天板の素材候補
Hit boxで最も重要かつ悩むのはボタンを取り付ける天板部分の素材をどうするかではないかと私は思う次第です。
自作は筐体のデザインも含めてとにかく自由なのが魅力ですが、それと同時にセンスも求められます(自分にセンスがあるとは言ってない)。
そして天板がデザインの大きな部分を占めると考えます😥
また色々と調べるうちに
レバータイプのアーケードコントローラに比べてヒットボックスではそこまで天板に剛性は必要ない
という意見がネット上で見られました。
言われてみればレバーは入力時に特定方向に力が強くかかるのと、レバーユニット自体がそもそもかなりゴツいです。
それに比べるとボタン押下時の下方向の力にさえ耐えられればよい
ヒットボックスの方が剛性面での要求は少ないのかもしれません。
ただ、アーケードコントローラの押しボタンは鉄板に取り付けることが推奨らしいです(三和の押しボタンのデータシートにそのように書いてありました)。
であるならば、それなりに剛性が必要なんじゃないかなぁ~とも思うわけで😥
ただ実際問題、鉄板となると入手性と加工の難度が高そう。
なので私は以下の素材を考えてみました。
- アクリル板
- 木材(集成材など)
- アルミ板
これらは組み合わせてもいいと思います。
例えばアルミ板(1~2mmほど)の上にアクリル板を置くとか、木材の上にアクリル板を置くとかはありだと思います。
アクリル板とその下の「板」の間に自分が格ゲーで使うキャラのイラストやコマンド表書いた紙などでも挟めばオリジナルのヒットボックスもできそうですね。
ただしこういったサンドイッチ構造にすると2枚(+絵のシート)で穴を寸分違わず開けないといけません。それが素人の自分に工作できるかどうか…( ´Д`)
また手持ちのドリル+工具で本当にきれいに穴開けができるのかどうかも全くの未知です。
そこで素材のテスト+穴開けの練習も兼ねて色々加工作業をやってみました。
1×4のSPF材(厚さ19mm)に穴を空ける
1×4のSPF材(厚さ19mm)が手元にありましたのでまずはこれでテストです。
結果を言うと私が購入した24mmのホールソー(多分これと同じ)
では穴は開けられませんでした(´・ω・`)
というのも買ったホールソーの深さをノギスで測ったところ6.5mmと浅めで裏表両側から攻めても届かなかったです。
つまり19mm/2=片側で9.5mm以上掘り進められないとホールソーでは貫通できないということになります。
これってよく考えれば当たり前なんでしょうけど、私はホールソーを見た事もない&ネット通販だったので
許容深さなども分からず直径と価格だけ見て購入→使ってやっと理解した
という次第です( -_-)
もしホールソーで分厚いものまで開けることを考えるのであれば
こういった深みのあるタイプが良いと思います。
例えば⬆のトラスコ中山のホールソーであればスペックのところに
ふところ深さ(mm):27
と書いてあります。
つまり27mm×2で54mmくらいまでは裏表両サイドから攻めれば穴開けチャンスがあるってことだと思われます。
こういう諸元表的なものを参考に、よく考えて買う必要があるのだと勉強になりました📝
それと、よーく考えたら別にホールソーにこだわる必要もなかったんじゃないかと今なら思います。
ヒットボックスについて調べるとネット上、どこもかしこもホールソー、ホールソー!!って感じでホールソーの事ばかり出てきます。
なので私もホールソーを買うものだと思いこんでいました。
ていうか調べるとホールソーではなく、ボアビットの方がいいのかもしれません。
ボアビットは刃の分に一部切り欠きがあるので削ったものを逃しながら深く掘り進むことが出来るようです。こっちを買えば良かったかもしれません(´・_・`)
後はぶっちゃけドリル刃の径の大きいものでも良いんじゃないかという気もします。
例えばこちらのスターエムのドリルビットなどネット上ですこぶる評判がいいです。
厚めの木材貫通が目的であればこういうビット類で良かったのかもなぁという気もします。
ともあれ、数ミリ厚のアクリル板やアルミ板が相手の場合、
果たしてこういったボアビットや大振りなドリルビットが最適解なのかは分かりません😥
案外薄いもの相手ではホールソーがやはり適切なのかもしれません。
いつか機会があったら比較検討してみたいですが…。
結果的に穴を貫通させるためホールソーからタケノコドリルにバトンタッチして貫通→穴の内側をハンドルーターで地道に削って加工となりました。
右がホールソーで削り始めた段階(参考例)、左の貫通しているものはホールソーで裏表側から限界まで削る→タケノコドリルで貫通させる→ハンドルーターで空いた穴の中央部分を削るという工程を経たものです。
ボタンを付けるとこんな感じです。穴の縁が荒れてしまってますね😥
ファルカタ合板(厚さ9mm)に穴を空ける
1×4材は穴開けに難があるのと天板としては厚すぎる(そしてまた重すぎる)と感じたので次にファルカタ合板(厚さ9mm)にホールソーで24mm穴を開けてみました。
こんな感じです。
慣れてないので縁が少し欠けてしまいましたが、おおむねそれなりに綺麗にできましたのであとは私の習熟度次第という感じですね。
ボタンもはめてみました。
これはこれでいいような気がしました(・∀・)
ただ、9mm厚なので押しボタンの抜け防止ツメが引っかかる許容厚み(目視で3mmぐらい)を遥かにオーバーしています。
しかしボタンが天井方向にすっぽ抜けて飛んでいくということはまず無いでしょうから、ツメのことはあまり考えなくてもいいのかもと思いました。
どうしてもというなら、ホットボンドなどで裏からボタンを天板にくっつければいいですしね。
あとファルカタ合板の良さは圧倒的な軽さです。
必要な剛性さえ得られれば、特に膝置きスタイルで使う場合は筐体自体が軽いほうが良いような気がします。
一方デメリットとしてはファルカタ合板は木目のようなものが皆無なので、
「見た目から醸し出す木のぬくもり」的な雰囲気面では今ひとつかもしれません。
アクリル板(厚さ2.5mm)に穴を空ける
いよいよアクリル板です。
いきなり高価な本番用を試す前に、ダイソーに行ってきてアクリル板で作られたディスプレイスタンド(Lサイズ)というアイテムを買ってきました。
こういうの。
厚みを測るとおよそ2.5mmのようです。
同じく24mm径のホールソーで穴を開けてみました。
縁がやや欠けていますが穴は開けることが出来ました。
アクリル板に関しては片側から攻めるだけでスパッと貫通です。
ボタンを付けてみます。
横から見た状態。
なかなかいい感じですね。
縁が多少欠けてもボタンの外枠で隠せるので後は私の習熟度次第だという印象を持ちました。
ただアクリルの穴開けには注意点が。
それはドリルの高速回転では熱が発生するのでアクリルが溶けてホールソーにまとわりつく点です。
これについてはスピードコントローラーをドリルとコンセントの間に挟んで、回転速度を抑えたほうが良いと感じました。
次に同じく24mmのホールソーで穴を開け、そこからタケノコドリル(ステップドリル)で30mmまで拡大するテストをしてみました。
まず最初にホールソーで穴を開けますが、今回はスピードコントローラーを使って回転数を抑えながら掘り進めたところ、1回目に24mmを開けたときよりもずっときれいに穴が空きました(慣れもあるかもしれないけど)。
使ったのは手元にあったこちらのコントローラー。
コントローラーで回転を落とすことでアクリル板が溶けることは無くなりました。
しかしそれでもバリは相当に出ます。
バリを無理やり剥がすとまた割れの原因になるので慎重な作業が必要と感じました。
その後ステップドリルで穴を30mmまで慎重に拡大。
なかなかいい感じに空きました。
正直、ステップドリル(タケノコ)で削る時の方がアクリルにキレイに穴が開くような印象を受けました。
しかしステップドリルはドリルを手で押し込んで作業すると軸ブレが起きやすいので
手動で垂直に当てるのはかなり習熟しないと難しいと感じました。
万全を期すならレバーで押し下げられるドリルスタンド、あるいはボール盤を用意したほうが良いのでしょう。
個人的にドリルスタンドかボール盤が前からずっと欲しいのですが
そこそこ高いのでこの機会に購入するかどうかは悩むところです( -_-)
30mm穴にもボタンをつけてみました。
横からはこんな感じ。
アクリル板は練習を重ねて慣れればあまり欠けを出さずに穴開けできそうな手応えを感じました。
ステップドリルの方が私は作業しやすかったですが、とはいえ24mmの穴を正確に手とステップドリルで11箇所開けるのはちょっと厳しいのではないかという気もします。
基本はホールソーでの作業になると思います。
そしてやはり垂直ドリルスタンドが必要かもしれません…😥
アルミ板(厚さ1mm)に穴を開ける
光社の厚さ1mmのアルミ板の余りが手元にあったので24mmのホールソーで穴を開けてみました。
率直な感想としては
穴は開くけど歪みがとても発生しやすい
です。これはちょっと予想外に大変だと感じました😥
アルミ板をクランプでガッチリと下板に固定して作業、
穴自体は割と開けやすいもののとにかく歪みます。
ホールソーで楽に開けきりましたが貫通した状態で24mmよりも大きくなっていました。
ボタンをつけてもゆるゆるです。横に少し動きます(´・ω・`)
これは全く想像外の結果だったので困りました。
アルミ+アクリル板が自分の中で最有力候補だったんですが、ちょっと計画を考え直さないとダメっぽいです。
ただもっと厚い2mmのアルミ板であれば歪みにくいかも?
うーんどうしましょう…( -_-)
こういうアルミ+アクリルで間に何か絵でも挟むのを目指してたんですけど…。
MDF(厚さ6mm)に穴を開ける
最後に買い置きのMDFの板があったので開けてみることにしました。
今回は試しに熟練度UPも狙って最初からステップドリルのみでチャレンジです。
ベースとなる穴あきMDF板はセリアで買ったものです。
ボタンがあれこれ付いてますが、ETS2やレースシム用にエンジンスターターキットを作ろうと思って作りかけの状態になります💦
こちらもいつか完成させて紹介したいと思います。
ボタンをつけてみました。
これは良いですね~(・∀・)
何より穴開け作業が楽です。
バリもあまり出ないし破損の危険が少ないので一番作業がしやすかったです。
あと、正直なところ
安いので失敗してもいいや~
っていう精神的気楽さがリラックスに繋がっていい結果になったと思います。
MDF板であれば調達が容易かつ価格が安いので、
正直ここまで作業した中でMDFが作業性と工作精度の面からヒットボックスおよびアケコンの天板にはベスト素材だと感じました。
ただし
MDFって水分に弱いんですよねえ( ´Д`)ハフー
アケコン天板でMDFむき出しだと文字通り手に汗握る状態が続くとそのうち歪み・膨張が発生すると思います。
となるとMDFの上にはアクリル板を用意したほうが良さそうですね…( -_-)
で、2枚に寸分違わず穴を空けるにはやっぱり垂直ドリルスタンドかボール盤ですよねえ…。
穴開けテスト作業まとめ
ということで、
- 1×4のSPF材
- ファルカタ合板
- アクリル板
- アルミ板
- MDF
に穴を開けてみました。
作業のしやすさは
MDF>ファルカタ>>>アクリル>1×4>>>>>>>>>アルミ
という印象を持ちました。
MDFとファルカタはそんなに変わりませんがMDFの方がやややりやすく感じました。
またファルカタとアクリルの間に割と大きな差がある印象です。
そしてアルミに関しては歪みがちょっと許容できないのでダメかなぁと感じました💦
これらは私個人の習熟度や素材の厚みの要素も絡んでくるので、常に一概にこうなるとは言えません。
ヒットボックスはボタン同士の距離が近いので少しでもズレると使いにくくなってしまいます。
精度が求められるのでドリルで垂直に開ける技術が必要です。
テストを通じて感じたのは精密な作業を行う、特に天板2枚以上のサンドイッチ構造を目指すなら垂直ドリルスタンドないしボール盤が無いと厳しいかもしれない―とも思いました。
となると私の現状の手持ち工具では木の板あるいはアクリル板一枚を天板に持ってくるのがベストなのかもしれません。
また今回工具をあれこれ買って思ったのはやっぱり日本ブランドでそれなりにお金を出したほうが良いなと言う点( -_-)
これは心底そう思いました。
工具の製造は中国であっても日本のメーカーが品質管理していればそれだけで全然違いますしね。
中華からダイレクト調達した器具は安いのでそれなりであろう…
と言うことは事前に覚悟をして買ったんですが、やっぱりそれなりなんですよね( ´Д`)
特にホールソーに関してはしっかり深く彫れるものを1,000円ちょい出しても買ったほうが良いと思います。
今回はここまでです。
次回は今回のテスト&練習を糧に1つテスト用でHitBoxの筐体を作ってみたので紹介したいと思います。
それではまた( ‘ω’ )و
作業をすればするほど最初からこれを買ったほうが良かったんじゃないかと思えてくる。。。