格闘ゲーム用のレバーレス・アーケードコントローラー
Hit Box(ヒットボックス)
を自作していこうというゲーミングDIYの新企画です( ‘ω’ )و
今回はヒットボックス制作において最重要となる基板とSOCDクリーナーについてのお話となります。
アケコン用の基板メーカーであるBrook社の方から聞いた、
Brook基板におけるSOCDクリーナーの詳細なボタン同時押下処理について
の情報もありますので参考になりましたら幸いですm(_ _)m
なお、色々書いてたら長くなったので時間のある時にでもお読みください😥
特に自作作業の際はケガ等ないように安全管理にはお気をつけください。
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これまでの自作アケコン経緯
以前、当サイトではホリの初代プレイステーション用アーケードコントローラー
リアルアーケードPS
をベースとしPC(Steam)用にUSB化する改造を紹介しました。
こちらの改造アーケードコントローラーは快適に動いているんですが、
レバーレスのコントローラー、HitBoxを試してみたいというのは以前から思っていたところ…🐤
本家Hit Boxはこのようなコントローラーです。
ただHitBoxは普通に買うとかなり高額です…😥
そこで自分で材料を用意して自作することにしました。
色々調べたところ、既製品を買うよりは自作したほうが幾分安くできそうです。
なお以前の改造ハンコンではボタンや筐体などは全て流用しましたが、
今回は部品を全部調達して作っていきます。
大会レギュレーションを考慮した基板選び
HitBoxのようにレバーレスなコントローラーについては有名なガフロコンを含め
これまで色々な経緯があったようです(当記事ではその辺は省略するので興味のある方はググってください🌼)。
様々な経緯を経て、現在は各種格闘ゲーム大会においてHitBoxのようなレバーレスコントローラーに関しておよそ次のようなレギュレーション(ルール)が設けてあるようです。
- 左右方向ボタン同時押しはニュートラル判定(なにも入力されていない)
- 上下方向ボタン同時押しは上優先(入力は上となる)
これは業界最大手(と思われる)CAPCOM Pro Tourのレギュレーションとのこと。
もしかすると他の大会などでは微妙に違うのかもしれませんし
また今後ルールが変わる可能性もありますが、
現時点では主に方向ボタン同時押しについての処理がHitBoxに関する大きな約束事のような印象を受けました。
※あくまでも個人で調べた範囲なので他にも色々と規定があるのかもしれません。自分のチャレンジしたい大会のルールをお調べくださいm(_ _)m
せっかくヒットボックスを作るのであれば、大会と同じルール下で使いこなせるようになりたいもの。
ということで、自作ヒットボックスでも方向ボタンを同時押しした時の処理について考えないといけませんね。
さてボタン押下処理を考える前に、
ヒットボックス及びレバータイプのアーケードコントローラーを作る方法について調べていくと、
その制作手段は
- 新しくアケコン専用の基板を買ってそこにボタンから配線して作る
- 既存の市販ゲームコントローラーの中から基板を引っ張り出し、そこに配線して作る(いわゆる「のっとり」方式)
という大きく2パターンに別れるようです。
まず最初に専用基板にしろのっとり基板にしろ、ボタン入力遅延の要素があるとのこと。
これはそれぞれの基板によって入力遅延が異なるため
遅延の大きい基板を使うとそれだけで格闘ゲームにおいて不利になることは想像できるかと思います。
この項のまとめ
- HitBoxのようなレバーレスコントローラーの使用について、ゲーム大会では方向ボタン同時押し時の処理がルール化されている
- ルールを守らないとレギュレーション違反であり処分対象となる可能性がある
HitBox用「のっとり」基板の候補
自作ヒットボックスを作る際、特に「のっとり」方式を考えている場合は
元の基板による入力遅延の要素をより注意深く考える必要があるようです。
私の調査の結果、のっとりの候補としてはGUILTY GEAR Xrd -SIGN- Limited Boxに付属しているギルティギア専用パッド
は遅延が極端に少なく、他社の格闘ゲーム専用アーケードスティックなどに比べてもより高速であるとの評価が海外の遅延調査サイトに記載されていました。
私が今回色々と調べた範囲では、「のっとり」を考えるならギルティギア専用パッドを分解→そこに配線してボタンを繋いでヒットボックス化というのが第一候補であろうと考えました。
しかしギルティギア専用パッドは市場流通がすでに少なく、新品だとソフト込みで5,000円ほど。
パッド単体の中古品でも以前は安かった(販売初期に破損報告等いろいろと問題があったのも大きいようですが)ものの現在は4,000円ほどはする様子。
仮に中古品を買っても基板が無事かどうかが分からないのでちょっと悩むところです。
次ののっとり候補がホリのファイティングコマンダー
こちらは市場に十分流通しており新品が容易に手に入ります。
ファイティングコマンダーは遅延の面でギルティギアパッドほどの性能は無いものの、
そこそこ低遅延でまあまあの性能という意見がネット上で見られました。
ただしこれも価格が高めでなかなかスパッとは選びにくいです。
またこれらパッドを乗っ取る場合先述の同時入力をどのように判定するかは基板およびゲーム次第であり詳細が不明です。
もし左右同時がニュートラルで無く、後入れ優先にでもなっていれば
そこをクリアするために途中にもう一つArduino等のコンピューターボードを挟んでニュートラル処理するプログラムを自分で書いて差し込まなければいけません。
となると、このようなプログラム処理を挟むことで、せっかくの低遅延速度もどうなるのか?というところが今ひとつ私にはわかりませんでした。
なんとなくイメージとしては遅くなるとは思うのですが…😥
以上がのっとり方式について調べた結果です。
この項のまとめ
- のっとり方式はギルティギア専用パッドもしくはファイティングコマンダーがおすすめ
- HitBox化した際、ボタン同時押下時の判定および追加処理を考える必要があるかもしれない
HitBox用アケコン専用基板の候補
次にアーケードコントローラー作成専用基板について調べました。
最近のアケコン専用基板であれば遅延の問題はほぼクリアされているようです。
そこはさすがは専用基板という感じでしょうか。
またこのような専用基板(ボード)には左右同時入力はニュートラル判定にするような処理(Simultaneous Opposite Cardinal Directions:SOCD クリーナーと呼ぶらしい)がボードに最初から搭載されており、
更に高額なボードであれば、同時入力の受付判定を色々と変更することが可能なものもあるようです。
(ただそれやるとチートじゃないのか?って気もするけど( -_-))
ただし専用基板と言うことで価格は高めのようです。
Amazonを調べたところ、だいたい9,000円~11,000円という感じでした😥
ネットの先人達の意見では、ヒットボックスを作るにはこちらのBrook Universal Fighting Board UFB
が鉄板商品とのこと。
Brook社は台湾にある、こういったアーケードコントローラーの基板分野で鉄板のメーカーのようです。
⬆のボードはSOCDクリーナー搭載で左右同時ニュートラル、またボードにあるジャンパピンの設定でその判定様式も変更できるようです。
ただし価格は1万円ほどとかなりの高額。
これにボタン、筐体、および仕上がりの見た目なども考えれば
「既製品のヒットボックスを買ったほうが少し高いけど完成度を考えるといいのでは?」
という考えもアリかと思います。
価格面は一度置いておいて、
一方、こういった専用基板でも気になる点があります。
Brook社のサイトで製品仕様の説明書などを読み調べたところ、
SOCDクリーナーの左右同時ニュートラルについては明記がされているものの、
上下同時は上優先という記載が見当たりません。
まあ最悪、上下ボタンを同時に押さなければ良いという考え方もあるでしょうけど若干の不安が残ります。
Brook社の方にSOCDクリーナーの処理について聞いてみた
SOCDクリーナーの上下判定処理に疑問がありましたので、思い切ってBrook社にメールで質問を送ってみました。
で回答を頂けましたのでその結果を載せます。
※Brook社の方からSOCDクリーナーの入力判定処理表をいただいたのですが、それをそのまま載せていいかはちょっと微妙な感じがしたので、以下の表は私が作り直したものになります。内容的には同等です。
※いただいた回答にはLEFT+DOWN同時押下について記載がありませんでしたが、これは特に問題なく「斜め左下」に判定されると思われます。
このSOCDクリーナーの処理について回答メールには
「Brook社の販売するボードはCAPCOM Pro Tour及びその他の主要な大会のFGC tourney ruleに準拠している」
との説明もありました。
さて⬆のSOCDクリーナーの表を見てみると
まず世間一般でよく言われる、
- 左右同時押しはニュートラル
- 上下同時押しは上判定
というのが達成できているが分かると思います(表では赤文字で示しました)。
併せて方向ボタン3つ押し4つ押しについて見てみると
- 3つ押しで左右+上or下の場合:左右の部分でニュートラル処理になるので最終的に上下どちらかになる
- 3つ押しで上下+左or右の場合:上下が上優先になるので上+左or右、つまり斜め上方向になる
- 4つ同時押し:左右がニュートラルになりかつ上下同時で上優先だから、最終判定は上になる
というのが見て取れると思います。
このようにBrook社のSOCDクリーナーでは方向ボタンを3つ、4つ同時に押した場合でも基本となる左右ニュートラル及び上下は上優先のルールが厳格に守られている事がわかると思います。
つまりBrook社のボードを買っておけばCAPCOM Pro Tour等著名格闘ゲーム大会でのHitBoxレギュレーションの面はあっさりクリアと言えそうです( ‘ω’ )و
現在Amazonで買えるBrook社のボードには次のようなものがありました。
専用ハーネスケーブルも買えば基板とボタンを繋ぐだけで良いみたいです。
正直、結構なお値段がしますが💰厳密なSOCDクリーナーを搭載しているので余計な不安が無く使えるのは大きなメリットだと感じました。
この項のまとめ
- Brook社の基板はCAPCOM Pro Tour及びその他の主要な大会のFGC tourney ruleに準拠した設計
- Brook社のSOCDクリーナーは同時に方向ボタン3つ、4つを押しても完璧な設計
- 自作HitBoxの製作ではBrook社のボードを買っておくのが一番楽で間違いなさそう
今回のまとめ
以上、HitBoxを自作する際の基板選びについて調べた結果を紹介しました。
調べていくうちにパッドの基板乗っ取りは基板が安く手に入るのであれば価格面でメリットはありますが、SOCDクリーナーの問題が大きく残ると感じました。
手に入れたパッド基板が運良く左右ニュートラル、上下は上等をやってくれるのであれば(実際そんなパッド基板があるのかはわかりませんが)問題ないのでしょうけど、
もしも左右で左優先にでもなればストリートファイターシリーズのガイル等で溜めが容易に出来てしまいレギュレーション違反になってしまいますよね😥
またもしパッド「のっとり」で行くにしても現状の価格がそんなに安くない+SOCDクリーナー用のボードを別に買ってそこにプログラムを自分で流し込んで、遅延はどうか、実際SOCDクリーナーの処理をカンペキに作れるのか…ちゃんと動くのかなどなど考慮しないといけない問題が山積み+価格も割と追加分が必要と感じました。
であればBrookのボードを最初から買うのが一番楽かつ安全なのかなと思います。
という事で私はBrookの基板を買ってHitBoxを作ることにしました。
※一応既存のアケコン改造用にSOCDクリーナーがプログラムされた専用追加ボードも海外ショップには売っています。が、そういったものは国際送料なども考えるとかなり高額です。
1から自作するのであれば最初からSOCDクリーナーが含まれているBrook社の基板が価格面でもベストかと思います。
これから材料もろもろを調達しますので製作の続きはおそらく年明けになるかと思います。
それではまた次回( ‘ω’ )و
まあ作るのがめんどくさい人は最初からこれ買うのが一番手っ取り早いですけどね😥